2013年4・5月号


大事なことは幼稚園で教わった



そこは「幼児教育はその親の教育から」
との創立者=園長先生の意志が貫か
れていました。
園児は年少・年中・年長の順番にめだ
か・かえる・とんぼの3年保育、全員で
50名前後でした。
園服や持ち物には名札や動物のマー
クみたいな余計なものはなく、「なまえ」
だけ。『字はまだ読めなくても、自分の
名前は覚える』というわけです。
その持ち物はひとつひとつが選び抜か
れており、道具箱は籐で先生たちが
編んだカゴでした。



「れんらくノート」には簡単なコメントだけ。
様子が気になっても「親から『どうだっ
た?』と聞かず、こどもから話すのを
待ってください。」
保護者会は月ごとに開かれます。
ある時K先生はこんな図を描いて
お話が始まりました。
生まれる前は、母親と同心円でも

  

  


成長するにしたがって少しずつ離れて
いきそして子供の時間が増えて
いく。『お母さん方もこどもが園にいる
間は心配せず自分の時間を持ってく
ださい。』
叱られたことは決して親に言わないけ
れど「きょうね、とび箱5段跳べたんだ
よ。」うれしい出来事はちゃんと報告し
たものです。
集団の中で自立を学んでいく『自分で
使ったものは、自分で洗う・片付ける』
帰宅後、おかあさんに(連絡)ノート
を渡し脱いだ制服をたたんでしまう。
ソックス、ハンカチ、おべんとうばこな
どを洗い、明日の用意をする。
電車にだって定期を持ち一人で通園
するのが最終目標でした。


雨が降りそうな日
『傘を持っていくべきかは自分で判断
させる』カバンを忘れて家を出ようとす
れば、『そのまま、園によこしてください。
困ったらどうすればよいかを、学びま
すから。』忘れ物をすると、まず先生に
相談します。それを聞いた先生はほか
の園児にたずねだれかに貸してもらう、
かわりばんこに使う、など解決方法を
みんなで考えるのだそうです。


『幼児にTVは必要ありません。』
週に2日は園で「音楽」と「お絵かき」
教室があり、通園時間が往復約3時
間でしたから、元よりTVを見る時間
などありませんでした。
夕食時のTVももちんスイッチOFF。
ほかの家族が見たかったら録画すれ
ばいい。
「いい時代になりましたね」
鳩時計を背にほほ笑むK先生なの
でした。



こんなスパルタ幼稚園を卒園した
わが子
小学一年生にして早、問題児とされ
、私は度々校長室に呼ばれる。
息子を立たせ、延々と不可解なお
説教。(ゴミなんか拾わず「子供は
外で遊べ」と言う)校長先生が差し
出すのは…
“人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ(ロバート・フルガム
著)”鼻白む思いで教育論を拝聴す
るのでありました。



その後‐
「動物相手に大自然の中でも一人で
生き抜いていく力を持っていますよ。」
‐K先生の励ましに、彼はひとり牧場
留学へ


『幼稚園は楽しかったなぁ』
手を使い、頭を動かし、思いっきり遊
んだ3年間を大人になってから懐かし
んでいます。


  


佐渡情報

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