2020年10・11月号












町歩き・佐渡相川偏




移り住んだばかりの頃、佐渡に町があるっ
てこと知らなかったのです。
どこ見ても田畑と山と海しかなかったから。
「私は町の出身だから、結婚当初はこんな
山の中で暮らせるだろうか、心配だった
のよ。」とおっしゃるご近所さんに、思わ
ず訊ねました。
「佐渡に町があるんですか?」って。





少し歩けば商店街が、大通りにはスーパー
やドラッグストアもあり公園を通り抜けれ
ば図書館へ、病院や役所も行ける。
日常生活に必要なものは半径1キロ内でほ
とんどまかなえる。
思い返せば、私はそんな町中に住んでいた
のです。
当たり前すぎてそれが便利な生活だったと
は思いもよらなかった。佐渡に来るまでは。





郷にいれば郷に従え的にだんだんと島暮ら
しになじみしかし時折、町の喧騒が懐かし
くなってきた頃お雛様めぐりの案内を見て、
相川に出かけることにしました。





チラシを片手に最初に拝見させてもらった
お宅では、立派な雛飾りのほかに武者人形
もありました。 
佐渡の風習なのかなぁと、お断りしてスケ
ッチさせてもらっていると、そんな私を珍
しがってか当主のご婦人が町の歴史、ご家
族の歴史、庭の手入れやコレクション品の
由来までお話しくださいました。


民家に上がらせてもらうのも年配の方から
お話を伺うのも佐渡では、はじめてのこと
だったのでとても印象に残っています。
その年のお雛様めぐりは最初の一件で長居
したため、めぐること叶わず。
後日聞けばあそこもここも素晴らしいのよ、



そんなこんなで、相川は季節を問わず一番
足繁く出かける町にそして私の町歩きスケ
ッチ最初のポイントとなったのでした。
町というからには地元の住人が食料品、日
用品を買える個人商店がなくてはなりませ
ん。(定義)

さらにほかではあまり見ない佐渡の物産が
セレクトショップ並みの品揃えでリーズナ
ブルだったらうれしいですね。
あそこでしか見られない、これは食べられ
ないとか、買えないとかそういうオリジナ
ルなものがある町のひとつが相川だと思い
ます。



たとえばとてもユニークなのがランチやお
菓子もあるブックカフェ&ミニシアター
「cafe ガシマシネマ」。
京町通という坂道の途中に風情のある佇ま
いの家屋に入ればそこは昭和の時代にタイ
ムスリップしたかのような空間。







映画鑑賞後は懐かしいような目新しいよう
な居心地のいい店内で根が生えたように話
し込んだ人もいるんじゃないでしょうか?


ちょっと遠くに駐車してあちこちの店を覗
き、お茶したり買い物したり海や山を眺め
たり、今日は石臼を何個見つけられたか、
とか少し旅人の気分で散策できるのが楽し
い。


そう、歩いて楽しい!が肝心です。

ある平日の午後、海を見下ろす高台で桜を
描いていたら、町の喧騒が聞こえてきまし
た。やっぱり相川は今も賑やかな町だね、
と地元の人に言えば「あれは波の音!」だ
そうで、、、







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