2013年2・3月号
佐度國相川
ひなまつり
今年で九回目を迎える
佐度國相川ひなまつり。
冬眠から目を覚まし始める三月の
相川の街は、桃色の幟がはためき、
華やかな雛人形が飾られ賑わいを
見せます。
ここにもお宝がある
きっかけは平成十六年九月のこと。
相川の有志が地域おこしの活動を
勉強してこようと、村上市の屏風
まつりを見学に訪れた。
屏風や人形などの各家のお宝が並
べられ、人々が地図を片手に見て
回る光景を見て「これなら相川でも
できるね！」仕掛け人の市川求(もと
む)さんｈ振り返る。
「村上のように、行政主導ではなく住
民が主体の地域おこしが可能だという
ことは頭に入っていたので、帰ってきて
から、相川でできることは何か具体的
に考えはじめました。」沢山の人が
相川に来てくれて、子供達が喜んで
くれるものを、という思いで生み出され
たのが、家の中にあるお雛様で展示
する「ひなまつり」だ。
地域活動と街の記憶
相川には道沿い花で飾り、観光客へ
のおもてなし活動を行っている「相川
花の会」という地元のお母さん方の
グループがある。
その会が主催者となり、イベント実現
に向けた動きが加速していった。
自分たちの家にあるお雛様を出すほ
か、商店や一般家庭には協力を依頼
した。初めのうちは「何それ！」という
反応もあったものの何とか協力を取り
付け、平成十七年三月に第一回目の
佐度國相川ひなまつりを開催する。
興味深いのは、相川には各家庭の
お雛様を見て歩く習慣があったことだ。
今、四、五十代の人たちが子供の頃
には、学校が終わるとお雛様を見な
がらおしんこやまんじゅうを御馳走に
なり、おしゃべりを楽しむ光景がみら
れたという。
図らずも、そうした慣習がイベントとして
甦ることとなった。
広がるひなまつり
回を重ねるにつれ神社など新たな展示
会場が加わった。また、岩屋口の集落
でも連動してひなまつり開催されるよう
になるなど、現在では三十軒前後の
会場でお雛様が展示されるまでに成長
した。家で大切に保管されていたもの
を展示したり、引き取り手がない古い
ものを借り受けて飾ったりする会場も
あり、江戸時代から現代までの雛人形
が見られる。
相川ひなまつりのこを聞きつけ、古い
雛人形を譲ってくれることもあるそうだ。
このほかに、絵幼稚園児が思い思い
に作った個性豊かな雛人形や、地域の
寺院がこの期間だけ展示する涅槃図
や宝物なども必見だ。
佐渡の雛人形は土でできた八幡人形
が多いが、相川のそれは本土から海
を越えて渡ってきたものが多く、時に
は驚くような貴重な人形がみつかる
こともある。
そうした人形の中には戦争中に米と
交換せれ、国仲や羽茂に流出したもの
もあるという。
声を励みに
このイベントがなければ蔵で眠り続けて
いるだけだった人形を展示してみると、
思いがけず「素晴らしいね！」と訪問者
に声をかけられることもあり、そうした
言葉を励みに毎年続けている展示者
もいるそうだ。
また、雛人形だけでなく手製の小物など
付加価値を付ける展示者もいる。
相川ひなまつりをきっかけに展示者と
親しくなり、雛人形はもちろんのこと、
展示している人に会うことを毎年楽し
みにして通ってくる客もいる。
見にきてくれっちゃ
現在このイベントを運営するのは、展示
者等で組織された佐度國相川ひなまつ
り実行委員だ。
「相川ひなまつりを途絶えさせてはいけ
ない、なんとか相川を盛り上げていきた
い、という思いでやっています。皆手弁
当で、自分の仕事を抱えながらですの
で難しい部分もあります。
でも、地元の人が一所懸命やっていれ
ば、それは外から見えると思うんです。
相川内外関係なく、一人でも多くこの
ひなまつりに興味を持ってもらい、色々
なアイディアを出し合いながら良い展開
ができればと思っています」
と語るのは、実行委員会会長の佐藤
洋子さん。
数え切れない人々の手によって、三週
間に渡るひなまつりは支えられている。
子供たちがいて、親がいて、そこに
おじいさんおばあさんもいて、家族で
歩きながら相川の街を見て楽しんで
もらうことを夢見て、着々と準備が進め
られている。
今年の春も、相川行ってご飯食べて
お雛さん見てこんかっちゃ！
見どころ
相川の街
雛人形の展示場は相川の街全体に
点在しています。雛人形を巡ると同時
に、相川の街の魅力を発見できます。
松栄(まつばえ)邸の雛人形
ひと際目を引く黒板塀の松栄邸。
廻船問屋として栄えた松栄家が所有
する多数の雛人形はどれも貴重なもの
ばかりです。
次回の展示は未定なので、今回の
展示をお見逃しなきように。
京町通りのひな街道
京町通りがひな街道に姿を変える予定
です。お雛様と共に風情ある美しい町
並みをお楽しみください。
涅槃図のトキ
涅槃図の下部には通常十二支が描
かれていますが、中には酉がトキに
なっている涅槃図もあります。
是非探してみてください。
佐度國相川ひなまつり
主催:佐度國相川ひなまつり実行委員会
共催:(社)佐渡観光協会
後援:佐渡市
お問合せ：佐度國相川ひなまつり実行
委員会事務局
TEL:0259-74-3515
(NPO法人エス・ネット内)
*会場により期間や時間が異なる場合が
あります。詳細はちらしをご確認ください。
*実行員会では、お手伝いしてくださる方
を広く歓迎します。
ご興味のある方はお気軽に事務局まで
お問合せください。
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