2013年6・7月号


小木吹奏楽団主宰
中務浩さん




電気店で働く姿は世を忍ぶ仮の姿?!
100年経っても価格の変わらない古い物
が大好きです。


知らないおじさんの部活指導

小木中学校の吹奏楽を指導して、今年
で五年目になります。
知らないおじさんが現れて固まっていた
子供達も、指導していく内に演奏する
のが段々面白くなってきたみたい。
一年目、指導を始める前年と同じ曲を
演奏したのですが、音楽ががらっと
変わったんです。
聴きに来ていた親御さんがまず驚いて、
子供達自信も驚いて、自分達はちょっと
格好良いかもしれないって気付いたん
ですよね。


ラーメン・タンメン・いけぶくろ

指導開始当初、子供達は音楽の事を
本当に何も知らなかったので、色々な
クラシック音楽を聴いてもらい感覚を刺激
し、演奏のイメージを持ってもらいました。
それから、例えば強い音を二個吹く練習。
どうしても後ろの音の方が短くなちゃって、
タータンと吹くんですよ。
ラーメンと吹かずに「タン、メン」と吹いてと
言ったらちゃんとできました。
五連符だったら、タタタタタでは分からない
から「いけぶくろ」とか「なかつかさ」とやって
もらう。音符や表現を言葉に置き換えて
分かりやすく伝えていきました。


小木吹奏楽団

羽茂高校に進学する教え子が多いけれど、
羽茂高校には吹奏楽部がない。
そこで公民活動として吹奏楽講座を始め、
今では小木吹奏楽団として活動しています。
名前は、地域のアイデンティティが薄くなり
つつあるので「小木」の名を入れ、誰が
聞いても分かるようにしました。
もう少しレパートリーが増えたら、高齢者
施設とか保育園に行って演奏したい。
中高生は、一度ステージに立つとまた
出たくて仕方ないんですよ。
そしてとにかく格好良く演奏したい。
失敗しちゃいけないから、上手くなりたい
という気持ちが生まれます。
楽器は小木中学校等から余っている物を
借りてきていますが、統合でこの後どうなる
か分からないし、希望の楽器がないと困る
ので壊れた古い楽器を自分で直しています。


自分で直す?!

小学校六年生で初めてトランペットに触れ、
そこからクラッシック一筋です。
中学・高校では吹奏楽部でトロンボーンを
吹いていました。
高校三年生の時に、新入部員が何十人も
入ってきたんだけれど楽器がない。
それで、彼らのために古くて使えない物を
修理したのが楽器を直すようになったきっ
かけです。使えそうなところだけ繋ぎ合わせ、
悪い所は直して何とか使える状態にする。
楽器がないから何とかしたいっていう気持ち
です。これが凄く面白くて今でも直すのが
趣味(笑)。
クリーンセンターにお願いして、楽器が廃棄
されたら連絡してもらっているんです。
直す物が一杯になりすぎて、どれから手を
つけたら良いのか分からないという状態。
でもやめらないわ!最高。




工学部副科チェロ?

大学では電気工学を勉強しました。
音楽は止めると決めて上京したんですけど、
我慢できず管弦楽部でチェロを始めました。
工学部は顔だけ出してチェロを弾くという
生活。就職後も演奏は続けていましたが、
五年ぐらいして実家から帰れと言われて、
佐渡に戻り電気店を継ぎました。
帰る気はなかったので、最初の十五年間は
悔やんでいました。
暫くは楽器にも触りませんでした。
でも、ある家へ仕事に行った時にヴァイオリン
のケースがあった。
そこからまたチェロを始め二十年になります。
本当に好きなことと仕事は全く別ですね。
ヘルメットを被って仕事をしている姿と、
チェロを弾いている時の姿にギャップが
あると皆に言われます。
もちろん、今は佐渡の暮らしを楽しんで
います。


佐渡でもできる!

佐渡には感覚を磨きながら音楽をする環境
がないんですが、それでもできるんだよと
言い続けたい。新潟や東京ではなく、ここ
でもできるということを教えてあげたいし、
自分でもそれを実践して環境を作って
あげたい。
小木吹奏楽団は元々中高生が中心だった
ので、上手くなっても卒業していなくなって
しまうんです。吹奏楽が好きな子供達が
演奏できる場所を残していくためにも、
四人しかいない大人がもっと増えてほしい。
初心者でもお待ちしております!
そして一番お願いしたいのは、処分する楽器
があったら絶対に捨てないで、一声掛けて
ほしいということです。
これ、書いてくださいね(笑)。


♪小木吹奏楽団
練習日時:毎週水曜日18:30〜20:00
場所:南佐渡離島開発総合センター
(離島センター)3階
会費:大人のみ必要
お問合せ・不要楽器についてのご連絡は
090-4372-6677(中務)まで




  

佐渡情報

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