2013年8・9月号


磯野正博さん


とにかく良く笑う。
真面目な顔をしてさらりと駄洒落を言う。
旅行会社をおしまれつつ退職した今、
次のステージを楽しんでいます。




アメリカでサイン攻め

ブルーグラスっていう音楽知ってる?
佐渡ではトキより貴重なブルーグラス
演奏家(笑)。カントリー&ウエスタンの
親戚みたいな音楽だけど、楽器編成や
リズムがちょっと違う。
高校三年の時ラジオでこの音楽に
出会ってこれをやろうと決め、
ブルーグラスの同好会がある大学に
行った(笑)。大学では音楽一筋(笑)。
1976年、4月の夏休み、アメリカに
行って各地のフェスティバルに出して
もらったの。下手だったけども、
もう大受け!どこへ行っても
サイン攻め。何に書いたと思う?
紙のお皿(笑)。
今でもマンドリンを弾いていて、毎年
新潟のジャズストリートに出ています。


堂々巡りの毎日、インドへ

大学卒業後は3年くらいフリーター。
アメリカで、ブルーグラスは彼らの
音楽だとわかったからちょっと離れ
てたんだけど、バイトしながらバンド
やってたの。もちろん超貧乏(笑)。
好きなことをしてはいたけど、将来
の展望や目標は全くなく、バイトと
音楽の毎日。
これじゃダメだと思った。
生き方が行き詰って、堂々巡りしている。
それで、誰も僕の事を知らない所で
自分の事を見つめ直そうと思い、
インドに行くことにした。


自分が創っている世界

インドに行ってみて色んな事が分
かってきた。
自分が見ている世界は、結局は
自分自身が創り出していて、全部
自分の責任だという事が自覚できた。
そこでプラス思考に切り替えられた。
例えば、怒りが出る、それを見つめる、
するとなくなるという風に(笑)。
あぁ、今俺怒っているなって、一歩
引いて見られたら、その感情は
もともとなかった物だからその内
なくなちゃっう。
どうしても怒りと一緒に行っちゃって
おーっとっとっとていう時も(笑)。
否定的な気持ちでいると自ずと
嫌な世界になっちゃうから、
なるべく楽しく健康に生きる、
「意識的に生きる質」をもち続ける
事というのが究極の目標。
修行が足りない?ごもっとも(笑)。
インドには3ケ月いて帰ってきた。
1年いることもできたけど、頭が
正常に働く間に帰ってこよう
ということで3ケ月だけにして(笑)、
翌々年にもう一度仕上げに!?
行きました。


佐渡に帰る

帰国して、都会に必要が無くなって
都会じゃないどこかへっていう気持ちが
あって、自分には佐渡があると気付いた。
親戚が佐渡で旅行会社をやってたん
だけど資格を持っている人がいなくて、
お前アメリカやインドに行っているから
資格取れるんじゃないかって、凄い
短絡的な発想で言われて(笑)。
僕も何もすることないから、それじゃ受けて
みようかと。
ただ、その国家試験は8科目あって、
問題集を見たら凄く難しい。
パリの何とか通りにある何とか言う
美術館の何とかいう絵がどうのこうの
って聞かれてもそんなの分かるわけ
ない(笑)。
これはダメだと思っていたけど、配られた
地理の問題見たらインドがぽーんと
出て一回でパスできた。
やっぱりそういう巡り合わせがあってね。
こいつはダメだろうからって(笑)、
神様が色々操作しているのかなと、
人生で出逢うものに無駄なものはない
と実感。後になって考えてみると面白い。


次なるステージへ

ちょうど30年、主に団体旅行で佐渡の
人を島外へ連れて行く仕事をした。
ヒッピーみたいな格好していたのに、
ある日突然ネクタイをしめて支店長に
なったって皆びっくり(笑)。
船が出なかったり飛行機が飛ばなかっ
たり色々大変だったけど、本当に
面白かった。伝説山ほど(笑)。
人生をゲームに例えると今までの
ステージは「旅行会社編」かな・・・。
次のステージに移動する時って、自分
の中でむずむずっとしたものがある。
この次はどんな事が待っているんだろう
とかね。
音楽は続けてました。インドから帰って
しばらくは僕が弾かなくても鳥が鳴い
ているからいいやって世界だった
からさ(笑)
楽器はまったく弾かなかったけれど、楽器
を弾く楽しみは捨てられなかったの。
今は旅行の添乗を続けながら、
音楽以外にもトレッキングのガイドを
したり、自称ステンドグラス作家も。
頼まれた時にステンドグラスを作って、
ちゃんと売ったりしています(笑)。
皆が気付いていないだけで、
佐渡は素晴らしい所だと思う。
豊かな海と山の自然と空間、
こんなバランスの良い場所って
世界中探してもめったにない。
楽しめることは何でも楽しむぞと。




磯野正博(いその まさひろ)
両津生まれ両津育ち。
1980年、1982年インドに渡り、そこでの
体験が以降生活のベースとなる。
1982年に佐渡に戻り、旅行業に携わる。
2012年まで大手旅行会社の支店長を
務め、修学旅行を含む団体旅行の添乗
員として各所より絶大な信頼を得る。
バンド「Gypsy(ジプシー)」のメンバー
としてマンドリン、ギターを担当。
関西学院大学法学部卒。

 

佐渡情報

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