2014年8・9月号





佐渡に学び、暮らす。


三年前に開校した、小木地区の
旧深浦小学校。
今年四月から合宿研修施設「深浦学舎」
として生まれ変わり(公財)鼓動文化財団
の「地域づくりコース」が始動。
赤澤京さんと中村美沙希さんの二人が
実習生としてここで暮らしながら、
佐渡の産業、自然、文化、歴史、そして人々
に学び、地域づくりの道を歩み始めた。


とにかく佐渡が好き

京さん(以下、京)は新潟市出身。
柿野浦の鼓動研修所で一年学んだ後、
佐渡に留まり地域づくりコースへ。
「母の実家が佐渡なので小さい時から来ていて、
佐渡にいたいなぁと前から思っていました。
自然が多く、人があったかい。
どこに行っても家族みたいに、こいっちゃ
こいっちゃと言ってもらえるのが一番すき
なんです」
美沙希さん(以下、美)は長野金木曽郡出身。
東京でウェブデザイナーとして十二年のキャリア
を積んだ。
「実家が農家なんですけど、家を継がなくては
という気持ちがありまた。そろそろ実家に帰ろ
うかなと思っていた去年、佐渡に来たら虜に
なってこのコースのことを知り、絶対行
くって(笑) 。
仕事は続けたいけど、田舎でどう続けていけ
るか探している途中だったんです。
山だらけの木曽で育ち都会に出て、
名前はミサキだけれど海がない生活をする
中で佐渡に来て、ここだ、と」


毎日笑って突進

佐渡の芸能を観てまわり、イベントの企画
運営、田植え、小木おけさの踊りの稽古、
集落の会合にワカメ採り・・・
なんでも一生懸命挑戦して濃密で慌ただし
い時間を過ごすが、二人に笑いが絶えるこ
とはない。
「芸能や工芸に興味があります。今、後継者
不足の課題が持ち上がっていて、昔は栄えて
いたのに今は廃れてしまったとか、担い手が
いないという所が気になっています。
お祭りでも何でも、続けていくには、若者がや
るようになるにはどうしたら良いか。
元気のある集落の秘訣はどういう所から来て
いるんだろうと考えるようになりました。
今までどのように続いてきて、今後どう続けて
いくのかを調べたいです」(京)
「今、イベントを立ち上げる過程も勉強になって
いて、いずれ地元でお祭り企画していきたい。
佐渡の様々な産業を体験していて思うのが、
祖母だったらどうやるんだろうと。
そういう視点を広げて、佐渡流と木曽流を織
り交ぜていきたいし、これまでの経験や知識
の蓄積を地域づくりの中で進展させられたら」
(美)





そうめん流しで見えた

「いままで深浦の方とお話しして、やっぱりこの
小学校に思い出が凄く沢山ある。
今深浦学舎となって、この「深浦学舎」がキー
だと私は思っています。
この間東京から三十人ぐらい宿泊客が来て、
校庭でバーベキューと流しそうめん大会を
やったんですけど、その時に竹で器と箸を
作り、自分達で刈ったワカメのお味噌汁を出
したら凄く喜んでくれた。
地域の方もお呼びしたんですけど、また一段と
喜んで頂けて。
喜びが二種類あったのが嬉しくて、この場所で
交流が生まれてくる中に、一つの大きな輪が
見えました」(美)
「本当、それが最初の第一歩っていう感じが
しましたよね。あ、これが地域づくりか、これが
『地域』なんだなって。
それが流しそうめんで見えました(笑)」(京)


二人が進む道の行方


「例えば、地元で仕入れた物をここでお土産とし
て販売し、地元に還元できたら良いかな」(京)。
「夏祭りとか、季節毎に皆でイベントを開いて
どんどん人が集まって、ここから情報を発信し、
それが地域のづくりの輪になっていけば良
いな」(美)
この先は、地域の現状と課題をふまえ、望む
未来を叶えるべき、それぞれの関心分野を
深く掘り下げていくことになる。
コースが終わる来年一月の先に
見据えるのは―
「自分にできることを探している段階なんです
けど、ここで身に付けたことを活かせる仕事
に就き、佐渡で働くのが今の目標」(京)
「案外私、木曽のことをこんなに深く知ろうと
してこなかったから、木曽についてよく知るこ
とが一番最初だと思いました。
私はゆくゆくは長野県で暮らしますが、ここで
知り合った方と長く繋がって
いきたいし、今後どうするのかは悩んでい
ます。でも京がずっと佐渡にいると言うので、
繋がり続けて木曽との架け橋となって、
歩く北前船に私はなりたい(笑)」(美)
「それでお互いのやっていることの情報交換
とか、交流ができたら良いよね。
私も、日本中歩き回って、地球四周分歩いた
ら宮本常一先生を超えたいです」(京)



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(公財)鼓童文化財団地域づくりコース
http://www.kodo.or.jp/apprentice


  

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