2015年12・1月号


佐渡で育てる

「島黒豚」




佐渡で始まっている養豚の試み。
運営に携わる
株式会社環境保全事業
専務取締役の小田さん

に話を聞きました。






佐渡産黒豚「島黒豚」

ブリティッシュバークシャーという
黒豚で、体に白い部分が六ヶ所あり、
六白豚とも呼ばれています。
母豚が四十頭、種豚が五頭、その
子豚、全体では約三百頭の豚を飼育
しています。
飼育を始めて、今年の十二月で丸四
年になります。
子豚が生まれて六ヶ月ぐらいになっ
たら豚舎から放牧場に移し、出荷ま
での三ヶ月間、自由に遊ばせ放し飼
いにしています。
豚は凄くかわいいですよ。
リンゴが大好きで、ポンポンと放っ
てやると、わーっと寄ってくる。
今の時期だと芋づるなんかも凄く喜
びます。



リサイクル業と養豚?!

元々は、産業廃棄物をリサイクルした
り中間処理を施したりして島外へ持ち
出すことが専門の会社です。
それがどうして豚を飼うことになった
かというと、実は私個人としては全然
やりたくなかった。
どうしてもこの島で豚を飼いたい、飼
わんきゃいかん、という社員がいて相
談に来たんです。
人懐こくてかわいくて、大きくなって
肉になって我々を呼ばせてくれる、そ
の魅力自体は私は承知している。
でも、生き物を飼うということは大変
なことで、水や屎尿処理の問題、それ
にコストや人員の面でも懸念が大きか
った。それで会社としては養豚は絶
対にしないよと言って、融資だけ
していたんですけれど、会社として手を
貸さなければいけないという状況に
追い込まれ、結果として社員の熱意に
押し切られる形になりました。



問題山積みの養豚

餌は島内で全部調達するつもりだった
んです。
遊休農地を活用して自分たちで作った
トウモロコシ、米、サツマイモ、カボ
チャ、マメ、それから山野草とか海藻、
そういったものを食べさせて、特色の
ある豚肉作りをしたいと思ったんです
が、収穫してから餌に加工するまでの
問題が多くて諦めました。
それから、黒豚は普通の白い豚に比
べると繁殖力が弱く、出荷できるまで
の時間も長くかかる。
その分、余分にコストがかかります。
黒豚は鹿児島のが有名ですけれど、
県外には売ってくれないんです。
国内には他にも黒豚を育てているとこ
ろがありますが、やっぱりイギリスの
ものがいいんで、もとの純粋な黒豚を
送ってもらいます。
でも大変高いんですよ。
えーって悲鳴が上がるくらい(笑)。
でもそんな苦労して入れた豚だって、
実際に母豚もしくは種豚として働い
てくれるのはせいぜい三年ぐらいで
すね。うちの豚は質的には安定して
いるんですが、供給量を安定させら
れるまでにはまだまだ時間がかかり
そうです。






質の高い肉になります

うちの豚の特徴は、米を食べさせて
放牧しているとこです。
餌を時給するというのは夢で終わり
ましたが、今、酒屋から酒米の削り
粉を分けてもらい、それを飼料に混
ぜてやっています。
米を食べさせると肉の質が変わって
ラードの質が良くなる。
もともと黒豚って凄く良いんですよ。
ある有名なシェフがうちの豚肉に
触れてみて、これは凄いと。
何が凄いかと言うと、自分の体温で
ラードが溶ける。
放牧というのは、豚の健康に非常に
良いわけですね。
ストレスがなくなる。自由に走り回
ったりすることによって、良い筋肉
がつく。それで肉が柔らかくなり質
が良くなります。






困難の先に目指すもの


未だに豚のことでは溜息ついています。
でも、いずれはしっかり設計して、例
えば糞尿も半自動的に処理できて、
臭気や音が漏れないような豚舎を作り、
その先の夢としては、放牧地をもっと
広くする。加工場も作り、そこで加工
した肉を安く食べてもらえるようにす
る。作業着でも家族連れでも、気軽に
入れるような食堂的居酒屋を作りたい。
ロースやバラなどはもちろん、モモや
ウデ、モツといった安い部位でも、う
ちの豚は普通の豚と全然違いますから。
色んな人に経験してもらい話をしても
らって、そういう安いところを楽しむ
人が増えてくれる、それが一番嬉しい
ですね。家で家族で食べれるのにちょ
うど良いくらいの値段だけど、普通の
豚肉とは全然違うんだよ、という評価
をいただけるようになればと思ってい
ます。



島黒豚に関するお問合せは
(株)環境保全事業まで
0259-51-2195
(土日祝を除く8時〜17時)

ブロックまたはスライスで肉を
お分けしています。
モモやウデの肉がおいしいので
是非一度試してみてください。




  

佐渡情報

2013 S*Life all right reserved.