2016年2・3月号


北雪酒造 蔵人
近藤芳美さん




お酒が大好き!
佐渡に来て三年目、
大望を抱き、日々奮闘中です。



横浜から佐渡へ


私は東京農業大学の醸造学科を卒
業しました。そこでは必ず、酒蔵か
醤油蔵か味噌蔵での実習があるん
です。
醸造学科では醤油を専門に研究し
ていましたが、実習に行くならお酒
が良いなと思ってたら、本当に偶然、
佐渡の北雪へ来たんです。
まさか自分が酒蔵で働くとは思って
いなかったんですけど、その実習の
時に、お酒だ!と思ったんですよ。
日本酒は伝統の分野だけど、一番
可能性が感じられる。
伝統を守りつつも、進化させていけ
るんじゃないかって思いました。
若い人は日本酒が苦手って人も多
いと思うんですけど、これなら飲め
るというお酒が造れれば、若い人も
夢中になるかもしれない。
それがちょっと面白そうでやってみ
ようと思いました。
私が北雪で働きたいと思ったのは会
社の「造る場は佐渡だけど活躍の場
は全世界だ!」という考え方が、面
白くて凄く良いなと思ったんです。






微生物は面白い!


元々勉強、特に化学や生物や数学
が好きで小学校の頃にどうしても欲
しくて買ってもらった誕生日プレゼン
トは顕微鏡でした(笑)。
私は特に将来の具体的な夢はなか
ったんですけど、高校生の時に小泉
武夫先生の『菌が地球を救う!』と
いう本を読んだんです。
そこに、微生物一つの発見で日本、
世界、地球を救える、というようなこ
とが書いてあって、私はそれに凄く
感化されたんです。
微生物を研究して面白いものを見
つけて有名になろうと思ったんです
よ(笑)。
すっかり小泉先生に影響されて、
面白そうだなと思い東京農業大学
の醸造学科に絶対入るって決めま
した。農大に入ってからはお酒の魅
力にはまってしまいました。
お酒って微生物の応用で造ってるん
です。微生物のお手伝いをするのが
人間の役割で、お酒を飲むとコミュ
ニケーションが取れるじゃないです
か。微生物の力で人と人とを繋ぐこ
とができるのがとても面白いかもし
れないと思って、お酒造りの道に進
みました。今も日々勉強中なんです。



アイデアを形に


麹づくりや洗米の手伝いなど何でも
するんですけど、基本の仕事は品
質管理です。もろみのタンクの櫂入
れして、温度を測ったりサンプルを
取って分析したりして杜氏に報告し
ます。分析値を杜氏が見て、温度の
調節等の判断をしていく。
二十本くらいのタンクを全部素早く分
析しないといけません。
失敗もあるんですけど、この仕事は
もう完全に任せてもらっています。
地元密着型の蔵は一人一人の存在
が凄く大きくて、それが魅力ですね。
色々やってみたいと思うことは社長
に言うと、とりあえずやってみろ、と
いう感じでやらせてもらえます。
例えば梅酒を作るとき、梅の実も商
品になるので全然問題ないのに少し
でも傷のついた梅は捨てちゃうんで
すよね。もったいないから、その梅の
実でジャムとかジュースを作ってみて、
商品化できないか挑戦したりしてます。
結局商品にはなってないですけどね。
酒蔵の見学客の運転手さんに出した
りしてます。お酒の分析も、今までや
ってなかったような成分の分析を試し
たりしてます。






石の上にも三年


二年目の去年は一番悩みました。
最初の一年は新しいことばっかりで
凄く楽しくて、こんなこともあんな
ことも、色々やってみたい!という
感じだったんですけど、二年目にな
るとやっぱりちょっと都会が恋しく
なっちゃって。買い物に行きたい、
友達に会いたい、ご飯作るの面倒
くさい(笑)。それで、去年はかな
り悩んで。でも、石の上にも三年で、
もう一年は頑張ろうと。
やっと仕事にも慣れてきて、三年目
の今年は結構楽しいです。



革命的なお酒を


大学に入った時、学生の内にやりた
いことをとりあえず全部書こうと、友
達と二十個くらい書いたんですよ。
最後にママチャリで北海道まで行く
というのが残ってて、卒業する前に、
その友達と「よし、やろう」と横浜から
スタートして、毎朝、日が昇ると同時
に自転車を漕いで、大体八日間くらい
で函館に着いたのかな。
色んなことがあって本当に面白かった。
良い経験でした。
やってみようと思ったこと何でもやり
たいんです。
今一番思うのは、友達に飲んでもらっ
て芳美のお酒好きって言ってもらうの
がめちゃくちゃ嬉しいので、もっと若
い人にも飲みやすいようなちょっと甘
口のお酒とかも作ってみたい。日本
酒業界に革命的な何かをやってみた
いっていう野望を持っています(笑)。
これからとにかく勉強して、革命的な
お酒を作ってみたいです。





株式会社北雪酒造
新潟県佐渡市徳和2377番地2
0259-87-3105
sake-hokusetsu.com


  

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