げんまる つれづれ 綴り


の終わり、とある場所の椎の木を訪ねた。

実家近くの社寺林であるその木は、通り道沿い
にあるものの、もう随分長い間立ち寄ることが
なかった。だが、このお夏は妙に郷愁の念に
かられいつもなら通り過ぎるその場所に久しぶり
に行ってみた。

何十年ぶりだろうその場所は、周りの風景こそ
様変わりしたものの、椎の木そのものはなんら
変わりなく、堂々とした姿で迎えてくれた。
木洩れ日の中、しばし佇むと、子供の頃この木と
過ごした日々が甦ってきた。
春夏秋冬、思い出はたくさんあるがなかでも秋の
日のシイの実拾いは実に楽しく夢中になって拾った
ことを昨日のことのように憶えている。
秋拾うといえば栗より椎だったからか、栗拾いの
記憶は全くない。

シイの実拾いは陽が傾きかけた帰り道。
幼なじみと一緒にこぞって拾い、生のまま
ポリポリと、おやつ代わりにして食べていた
のがその頃の秋の常だった。
最近になってようやく知ったが、シイの実
などの木の実は生命力みなぎる、栄養
バランスの良い世の中で最高の天然サプリ
メントだそう。
無論、当時そんな事は知る由もなく
拾ってはムシャムシャ食べたっけ。
嗚呼、懐かしいノー・・・。
子供時代の思い出は歳を重ねるごとに
時に痛烈に甦り郷愁を誘い、
同時に心豊かな気持ちになる。
ココロとカラダを育んでくれた
なにものにもかえがたい宝物だ。
シイの実もその宝物のひとつだと
あらためて思う今夏だった。

気がつけば鱗雲に秋風。
秋たけなわの実りの季節はもうすぐだ。





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