げんまる つれづれ 綴り



さっぴーーい(寒い)!
一年で最も寒さ厳しい大寒の時季、
口をついて出る言葉はこれしかない。
あと二週間もすれば暦の上は春、
立春を迎えるが実際にはもうちっと先。
嗚呼、春よ来い!はよぉー来いっ!
年々寒さが堪えるようになってきた我が身。
暖かい春が待ち遠しくてたまらんのは
哀しいかな、寒さに弱くなってきた
そーゆー歳になってきた事を痛感する。
とはいえ、春が待ち遠しいのはなにも
そんな理由だけではない。まもなく
やってくる、うんめぇ春を思えば寒さも幾分
和らぐってもん。何がうんめぇ春かって?
春といって真っ先に浮かぶもの、といえば
早春一番に自然からいただける大地の恵み、
フキンジイ、でしょ、やっぱり。
佐渡では蕗の薹のことを
フキンジイサンと呼ぶ。旅んもんや最近の
若い島んもんは、聞いた瞬間、布巾を被った
爺さんの姿が頭に浮かんだかもしれんが、
実際は「蕗の爺さん」という意味で、
それを略したのがフキンジイである。
早春、野山や人里など、至る所に顔を出す
フキンジイ。まだ寒さ厳しい雪解けの頃、
雪間にけなげにちょこんと土から顔を
出しているのを見つけると実に嬉しくなる。
その小さな丸い姿は、まるで産声をあげた
ばかりの赤ん坊のような強い生命力を感じる。
と思ったのも束の間、これが春一番の
オイシイ食べ物に見えてくるのだから
どうしようもないノ。このまま見過せば
小さな愛らしい花を咲かせるが、美味しく
味わえるのは残念ながら花が開く前。
蕗味噌にしたり、天ぷらにしたり、
焼いたり等々・・・。
あ〜たまらん!春を告げるほろ苦い味を
思い出すだけで、よだれがでるっ!
子供の頃はこの苦みのどこが美味しいのか
わからんかったのになぁ。
ところで、赤ん坊のような可愛らしい姿の
蕗の薹がなんでジイサンと呼ばれるのかが
ずっと腑に落ちなかった。だが最近ようやく
紐解けた。早春の頃は、春告げる山菜として
もてはやされたフキンジイも、暖かくなる頃
には茎が伸び、白い花は綿毛になり、
かつての初々しい姿はどこへやら。なんだか
寂しい風情になる。そうなったものを、
蕗の爺とか蕗の姑などと呼ぶのだという。
!知らんかった・・・うんめぇ時しか。
ともあれ、今年も喰い気立つ春がやってくる。





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