2017年6・7月号

























げんまる つれづれ 綴り


水無月六月。
いよいよ薪能の季節がやってくる。
静寂と暗闇の中、二人の神子による
火入れの儀式が行なわれると、瞬く間に
赤々と燃える篝火に照らされた能舞台が
浮かびあがる。笛の音色が合図の如く、
いよいよ演目の始まり。
神秘で優美、時に妖しい魅力を放ちながら
繰り広げられる、まさに幽玄の世界!
屋内の能楽堂とは違い、季節の風、香りを
味わいながら自然の中で演じられる佐渡の
薪能は、とても魅力的だ。
能というとなんとなく敷居が高いような
イメージだが、佐渡の能は親しみやすい。
島に暮らす人々の生活と密接に結びついて
いるからだ。農作業の合間に謡の練習をし、
祭りや祝い事で披露するなど、能が生活の
一部となっている。真野には舞方も囃子方
もいて、集落の人間だけで能ができるという。
素朴で温かく、素人ならではの味わいが自慢。
年寄りにとっても「能は生き甲斐」とか。
ハハァー! 生き甲斐かぁ〜、
佐渡んもんの芸能への情熱感じるお言葉だナ。
いくつになっても夢中になれることがある
なんて、けなりぃナ〜。今からお能をやろう
とは思わんが、非日常を感じに観覧する
のにはやっぱり、いいノ〜。
ところで佐渡の芸能というと、オンデコや
薪能があまりに有名すぎるが、他にも色々な
芸能がある。慣れ親しんだところでいうと
佐渡んもんなら誰でも踊れる佐渡おけさ、
木之助・お花・仏師の三人が繰り広げる
佐渡弁丸出しの人形芝居のろま人形。
だいぶ大人になって知ったところでは
チョット大人のユーモアに赤面、苦笑して
しまう、ちとちんとんに、つぶろさしなど
佐渡の日常には本当に芸能があふれている。
春と秋の祭りの時期には特にそれを感じ、
そこかしこから聞こえる太鼓の音に自然と
反応してしまう。同時に、やっぱり自分が
佐渡んもんだと実感する。島を離れても
祭りには必ず里帰りするという人の気持ちは
こういうことか。
歳を重ねるごと、じわじわと、故郷のよさに
気づかされるこの頃だっちゃ(笑)。



  

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