2017年2・3月号


小木の民謡を支える笛の名手

民謡団体さざなみ会会長

一柳克史さん





小木生まれの小木育ち


家は親が竹細工やってて、中学を
卒業して横浜の造船会社に行こう
かなっと思っとったんだけども、
親に残っとれって言われて止めら
れたんだ。三男だし色々あって家
は継がんかったけどな。


太鼓から始まった


小学校の時に兄貴が青年会に入っ
とって、練習についてっておけさ
の太鼓を叩き始めたのんが始まり
だな。

さざなみ会で親戚のおじさんが笛
吹いとったんだよな。
そいでだんだんおじさんが歳とっ
て吹けんようになって、俺にちょ
っとやってみんかっつうて言うた
のんと、村田守さん(さざなみ会
二代目会長。平成二十四年死去)
が誘ってくれてさざなみ会へ入
って、笛は二十歳すぎた頃始めた
んだかなあ。
その頃はほとんど笛吹く人おらん
くて、今の方が多いなあ。

さざなみ会に入って太鼓、尺八、
鼓もやって、最初に覚えた笛は
小木おけさの笛だな。
最初から音は出て、まあこんなも
んかなあと思って(笑)。
吹き始めた頃は、まあ音さえ鳴れ
ばっていう感じでいたけど、年々
歳とって色々分かってきてから、
舞台の怖さっていうのが分かって
緊張するんだよな。


小木のステージ


笛は祭りで吹くより、昔は小木の
新潟交通のバスターミナルがあっ
て、毎日のように二階の大食堂の
ステージでやっとった。
料金は三百円から五百円ぐれえだ
ったんかな。
夜になると浴衣着て下駄履いたお
客さんがいっぱい階段あがって来
てな。

小木祭りは青年会がやっとって、
昔は盆踊りから小木祭りまで、ず
っと浜で櫓組んで朝まで踊りがあ
って盛んだったな。おらっちはス
テージが終わるとその足で行っと
ったかな。今はイベントでの公演
が主体かな。



写真提供:一柳克史


新しい笛との出会い


昔は古典調(*)のお囃子の笛だけで、
ドレミに調律してある歌ものの笛
(**)は知らんかった。


それまでは笛はそういうもんだと
思って吹いていたんだけども、民
謡の仲間が、羽茂の高野清山さん
が作った歌ものの笛を持ってきて、
それがきっかけだったかな。

歌ものの笛に出会って吹いてみた
ら、お囃子の笛の音が何かずれて
る感じで。
そこで古典調の笛の指穴を削った
ら、多少三味線とのずれが少なく
なったな。それから鼓童で千葉県
の蘭情さんの笛(***)に出会って、
今は蘭情さんの歌ものの笛ばっか
りだな。


伝統とはいえ


小木おけさの笛のメロディも変え
てきたな。
最初習うたのはもっと単純なメロ
ディで、ちょっと笛吹きとしては
意地汚ねえんだけど、誰でも吹け
るんなら変えてやろうかなと・・・。
俺が変えても、まだ誰からも何も
言われてねえなあ(笑)。

でも、ここで笛のメロディは大体
落ち着いてくるかなと思うんだけ
ども、時代の流れもあるし、次の
人が自分なりに変えて吹いても良
いんじゃないかなと・・・。
この先また笛が古典調に戻っても、
まあ、世に広めた人が勝ちだと思
うんだよな。昔はこうであったと
言うても、現在引き継いだ人がメ
インになるんで、その人がアレン
ジして世に広まれば、小木おけさ
で通用すればそれで良いんじゃね
えかな。


次の世代へ


前は公民館活動で二十年ぐらい小
木おけさの笛を教えていたんだけ
ども、だんだん人が減ったもんで
一旦辞めたんだ。今は好きな人が
集まって、歌とか笛と太鼓とか、
小木おけさに関する全般的なもの
を練習しとって、全島から常に六
〜七人来てるかな。
好きな人なら誰でもどうぞ。
費用はいりません。



*古典調
昔ながらの篠笛で、西洋音階とは
異なった調律がなされる。

**歌もの
西洋音階に調律された篠笛。
近年になって普及した。

***蘭情さん
千葉県在住の篠笛製作者




写真提供:マリンプラザ小木


小木おけさの教室はどなたでも自
由に参加できます。どうぞお気軽
にご参加ください。
日時:毎週水曜日 19:30より
(※12月〜3月はお休みします)
会場:マリンプラザ小木2階
(小木町1935-26)

お問い合わせ
一柳克史 0259-86-3463

  

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