2019年12・1月号



佐渡水産物地方卸売市場 

セリ人

木村 章平さん







サッカー選手を断念


生まれは両津です。
高校を卒業して東京のサッカー専門学校に
入りましたが、膝の怪我で半年ほどで佐渡
に帰ってきました。
サッカーは小学校四年生からやっていて、
プロになる夢を持っていたので本当に落ち
込みました。
佐渡では何をやろうということも無かった
のですが、祖父が漁師をやっていた関係で
この仕事を紹介して貰いました。
最初はあまり興味なかったのですが、給料
も安定していて朝は早いけれど2時までな
ので、その後の時間を自由に使えて良いな
と魚市場に就職しました。
今年で7年目です。



メンタル勝負


大まかに魚の名前は知っていたんですが、
先ずは図鑑を見て先輩とクイズ方式で覚え
ました(笑)。
次に魚屋さんの商号と顔と名前を覚えまし
た。魚の名前よりこちらの方が難しかった
です(笑)。
それからセリの時に金額などを売上伝票に
記入しないといけないので、ICレコーダー
で録音して聴き書きの練習をしました。
特殊な言葉もあるので、反射的に手が動く
ようにしました。
市場での価格は佐渡の前日相場に東京や
新潟の相場、これは魚屋さんも見ています
が、そのデーターと水揚げされた魚を見て、
セリ人が決めます。
セリではセリ人が一番力を持っていますが、
その分プレッシャーも物凄くかかります。
魚屋さんはギラギラした目で見てるし、
俺の方が早かったじゃないかと怒られるこ
ともあって(笑)。
こちらの方が歳も若いですし、メンタルを
やられたらできませんね。
この仕事、最初は嫌で、やれと言われて始
めました(笑)。でも7年やってきて意識が
変わってきました。
人との関わり合いが増えて拡がったり、毎
日違った魚を見るのも楽しくて
やり甲斐があります。





7時からセリが始まります。
海が荒れたせいで今日は少ないですね。
セリはひとつの魚につき3回のやり取りな
ので、これだと2〜30分で終わりそうです。
この時期はノドグロやアカガレイ、それか
らメバルやスミイカなんかが入ります(注)
以前はスケトも結構入っていたんですが、
今は少なくなりました。
年々漁獲高は落ちています。
温暖化で海が暖かくなってきたのと、やは
り漁師さんが減っているのが一番大きいみ
たいですね。
これからは鮮度や衛生面の管理をより良く
して魚の品質をあげ、可能なところはハイ
テクにしていければ良いなと思っています。



水産とフットサル


仕事ではありませんがフットサルの指導も
していて、5年前から子供を含めた男女で
プレイするミックス大会を開催しています。
組織は作らずに個人でやっていて、最初は
お付き合いのある水産会社にお願いして
スポンサーになっていただき、それから
自分で声をかけたり紹介して貰ったりし
て、お蔭様で今は15社に増えました。
スポンサーと言っても協賛金ではなく協
賛物ということで、各社の製品や食事券
などを頂いてそれを賞品にしています。
現在は10チームで100人ほど。
女性が多いですね。
運営の経費は参加費などで賄っています。
水産とフットサルを盛り上げようと、去
年は大会の時にサザエのつかみ取りを小
学生にやってもらいました。
今回見ていて子供たちが凄く上手で盛り
上がっていて、島内で流行りつつある
バスケやバドミントンに負けないぐらい
活性化させたいですね。

夢ですか?
う〜ん、自分で起業してみたいです。
高校生がゆっくり勉強できたり、お年寄
りがのんびりしたりと、幅広い年代の人
が使えるカフェを両津に作れないかと友
達と話したりしています。
また、佐渡全体を見られるような立場で、
水産業をはじめこの島全体を活性化して、
より良くしていければなと考えています。






(注)9月下旬取材時点


  

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