2021年10・11月号




蔵人・ゲストハウス華屋オーナー
竹内 康太郎さん








カルチャーショック


1981年に東京の荒川で生まれ、小学生から高校まで
埼玉県で暮らしました。
高校一年生の時にテレビで鼓童のことを知り、こんな
人達がいるんだと・・・・・。
ちょうど春日部市で公演があったので観に行き、メンバー
になりたいと研修生に応募しました。
太鼓の経験は全くありませんでしたが合格し、高校を卒業
して佐渡に来ました。
各地から集まった同期生はみんな個性的でしたね。
それまでは東京と埼玉しか知らなかったので、佐渡の
お祭りや人々の暮らしぶり、そして豊かな自然に洗礼と
いうかカルチャーショックを受けました(笑)。
研修所での二年間の生活は自分に大きく響いたものが
あって、今に繋がっているのだと思います。
研修所という制約された生活環境でしたが、佐渡の印象
は人と人との距離が近いというか、コミュニティの強さ
みたいなものを感じました。




夢をこじらせる


二年間の研修期間を終えましたが鼓童のメンバーには
なれませんでした。
いっときは落ち込みましたが自分も頑張らなくてはと思い、
予備校に一年通って早稲田大学に入りました。
大学では民俗学を学び、長唄のサークルに入って三味線を
習っていたので、卒論は「三味線の皮革文化」というテーマ
でした。
在学中は舞台への夢をこじらせて(笑)東京の太鼓グループ
の研修生になったり、大学卒業後に長唄の先生の所で通い
の内弟子になったりしました。
プロを目指していましたが伝統芸能の世界に馴染めない所
があり、半年ほどで辞めてしまいました。
その後就職するまでの間に東南アジアを二か月ほど旅行
しました。
ゲストハウスを利用して四か国ほど回りましたが、全部の国
で現地の人と間違えられたりして楽しかったです(笑)。
今思えば、その旅が佐渡でゲストハウスを始めることになっ
た伏線になっていますね。




水路当番から蔵人へ


帰国して翌年の春から広告代理店で制作営業として働
きました。
給料は良かったものの労働環境はブラックというかハード
でした。
丁度そのころ佐渡に住んでいる女性と結婚することになり、
二年間務めた会社を辞めて佐渡に移住しました。
まあ、何とかなるだろうと思っていて迷いはありませんで
した。
最初は羽茂の大崎で田圃の水路当番を任せられ、その
後は農業フリーターとしてあちこち手伝いに行き、地域の
人々との繋がりができ信頼を得ることができました。
それでもやはり彼女の実家から「ちゃんと働くように」と
言われ(笑)縁があって酒造会社に入りました。
配達や酒造りなど何でもやりましたが、何かしらモノを作る
ということに興味が湧き、本格的に酒造りを学ぼうと、働き
ながら新潟清酒学校に月に二度ほど通いました。
その後事情があって、ここも二年ほどで辞めて別の酒造
会社に移りました。
それまでどこも長続きしなかったのですが、気付けば今の
会社で十年が経ち、多くのことを学ばせていただきました。









ゲストハウスのオーナーとして


三年ほど前だったか、老舗旅館だった小木の「ごんざや」で
イベントがあってこの建物を知りました。
年月の割にはしっかりしていて所々の意匠も凝っており、特
に大広間のステージには惹かれました。
とにかく魅力的でここを使わないのはもったいないと思い、
八月のグランドオープンを目指し(注)、友人の手を借りなが
らコツコツと改装を始めています。





個室が多くネット環境も充実しているので、観光旅館として
だけではなく仕事と休息を兼ねたワーケーションや、移住
の体験ができるよう長期滞在をしてもらいたいので、移住に
関する情報をここに集積できたらと考えています。
秋と冬は集客が見込めず暖房コストもかかるので、当面は
四月から九月までの営業となります。これは難しいかも知
れませんが、障害者や就労困難者の雇用も計画してい
ます。
これまでは雇われたことしかなかったので、経営者としての
チャレンジは面白くやっています。
当分はこのまま蔵人と二足の草鞋でいくつもりなので、自分
の右腕になってくれる人が欲しいですね。

佐渡に住んでいるとコミュニティが限定され、会う人が段々
と同じになってきます。
「華屋」という名前にも願いは込められているのですが、
旅行者はもちろん、地元の人も含めて色々な人がここで
交流して繋がりを持って、新しいことを生み出していけるよ
うな場になれたら良いなと思います。



(注)8月7日取材時点









ゲストハウス華屋
〒952-0604 新潟県佐渡市小木町八四五
Instagram @guest_house_hanaya
宿泊の予約はBooking.com より受付中


  

佐渡情報

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