2021年2・3月号


NPO法人みなと昭和館

代表理事
中川 昌司さん








出雲から婿養子


出身は和歌山県の御坊(ごぼう)というところで、
昭和二十四年生まれの七十一歳です。
うちの親父が転勤族だったもので、御坊から
大阪に移って小学校六年まで、中学から高校まで
は 島根県の出雲です。
それから東京の短大に入ってそこで佐渡から来て
いた家内と知り合い、二十一だったか二十二の時
だったかな、こちらへ婿養子に来て家内の実家の
会社に入ることになりました。
会社の人も地元の人もみんな優しく面倒をみてくれ
て、義父が議員をやっていたので色々な人と交流
できましたね。
会社は瓦とコンクリートブロックを主にやっていまし
て、その頃は新幹線と関越自動車道が開通して観
光業が良くなり、ホテルがあちこちに建って忙しか
ったですよ。
同じ頃地元の祭りが途絶えたのでその復興の事
務局をやりまして、祭礼日変更の建議書を手に
新潟の神社庁と掛け合ったりしました。
それ以来あれこれと地域の活動に関わっています。



若者が戻って来た


この湊の古い町並みを、北一輝の生家を中心にして
祭りと共に活かしたいと、平成十八年にNPO法人を
立ち上げました。
当初は五十人ぐらいで今は三十人ぐらいかなあ。
祭りを復活させてから祭り好きの若者が戻ってきて、
多分当時佐渡で若者が一番多く帰ってきた街だった
と思います。十五年前ぐらいまで四十歳以下が二百
人ほど居ましたからね。
御輿を担ぐのが六十人、鬼太鼓が二組に獅子組が
三組あって祭りは盛大でしたねえ。
今はかなり減ってますが若者はまだ多い方だと思
います。




提灯復活


提灯は祭りでどうしても要るとなって作り始
めました。新穂の人がたまたま型を持ってい
て、じゃあ教えてもらいながら提灯教室を一緒
にやりましょうと。その後は新潟水原の提灯屋
さんに来てもらって教わったんです。

昔はこの型に巻く竹ひごを佐渡でずいぶん
作っていて組合もあり、秋田の竿燈まつりとか
富山や新潟の祭りの提灯用に出荷していたんで
す。佐渡の竹はしなりがあってすごく良いんで
すね。ヘルシンキオリンピック(一九五二年・
フィンランド)の棒高跳びの棒は赤泊の竹が使
われていたぐらいですから。一時は四国の香川
で盛んだった番傘作りにも使われました。全国
から取り寄せた竹の中で佐渡の孟宗竹が一番良
かったそうです。以前両津商工会の研修旅行で
静岡の竹類博物館(富士竹類植物園)へ行った
のですが、その時に館長さんが開口一番「佐渡
の竹は日本一ですからね」とおっしゃってくれ
ましてね(笑)。かつては組合ができるほど盛
んだった竹ひごも作る人がいなくなって、今は
細いワイヤーの入った和紙の紐を使っていま
す。



提灯の型は知り合いの大工さんが見本を見て
作ってくれました。
こうして作った提灯をね、夜祭りの時にズラ〜っ
と並べるんですが綺麗ですよ。
作るのは祭り用ののと鬼太鼓のものが多いですね。
それから薪能で 使う提灯もやって、これまでに
何張り作ったか分かりません(笑)。
提灯本体は一日でできますが、文字を入れたり
和紙を糊付けするので乾くのを待ったりで一週間
ぐらいかかりますかね。
糊は木工ボンドとフノリを調合して、道具類も
自分で工夫して手製のものを使ってます。
上と下の黒い輪っかは佐渡で作れないので、秋
田の 曲げわっぱを使っています。 提灯を入れる
箱や行灯も作ったりしてます。昔は提灯を作っ
ていた人が結構いたらしいので、残っている型
があればぜひ譲り受けたい。
型さえあれば色ん な提灯が作れますからね。

少し前までもう一人いたのですが今は私だけ。
この冬はやってみたいという者がいるので
ちょっと教えようかと。
この工房は出入り自由なのでやってみたいと思う
人は遠慮なく来てください。

色々と物作りは好きなので、これからも手の動く
限りやっていきます。







問い合わせ
〒952-0014 新潟県佐渡市両津湊42
0259-27-2311
E-mail:kawaraya@smile.ocn.ne.jp

☆提灯参考価格
・高張提灯(二尺)一万二千円〜一万三千円
・鬼太鼓用弓張り提灯 七千円


  

佐渡情報

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