神通力を失った小天狗
(赤泊村徳和)


徳和の天狗塚(天狗山)には、むかしから天狗がいるといわれている。
ここの大天狗は、小天狗に空を飛ぶ術を教えていた。
ある夏の夜、小天狗は、この頂上から池田オキ(広い田圃のあるところをオキという)のまん中まで、往復飛ぶことを大天狗から命じられた。
小天狗は、一声鋭く叫んで空中を飛んだ。すると、向こうに灯火(あかり)が見え、いつのまにか、その家の窓下に来てしまった。そっと、家の中をのぞいて見ると、若いきれいな女たちが数人いて糸車をまわしていた。
小天狗は、それをしばらく見ているうちに神通力を失ってしまった。
それから、小天狗塚へ帰った時には、大天狗はいなかった。

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