シラネアオイ
日本海側の
ブナ林に生き残る
シラネアオイ科
シラネアオイ属
花期 5〜6月
白根葵の名は栃木県の白根山に多く、花がタチアオイに似ることに由る。
高山植物。
海抜600b前後の低山である小佐渡山地には分布しない。
大佐渡の深山には、群れて群れて、咲いて咲いての花の道や沢が今も残っている。
淡い紅紫の鍔は花びらを思わせる。
花びらの繊細なひだとふくらみ、シベの愛らしさ、
ちりめん状に波うつ葉のソフトさ、山草の女王の気品を漂わせる。
日本の固有種で1科1種。
日本の多くの植物は列島誕生の2500万年に誕生し、分化発展した。
シラネアオイ属は、もっと古い時代の古第三紀の初めの7500万年前に誕生した。
7500万年間に多くの種を分化し栄え、その多くが滅亡した。
生きつづけてみると、仲間は誰もいない。
自分ひとり。
地球上で日本、しかも日本海側のブナ林床という特殊な立地に生き残った
“遺存種(生き残り)
・固有種”である。
7500万年生きつづけた1科1属の運命を集め花を咲かせる。
生き残りというより、生きつづける輝きをこの花にみる。
「白根葵咲きてありきと思ひでて見上ぐる崖に今年も咲きけり」
植松寿樹。
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