情報 2009年9月25日
エスライフ 09年10・11月号

あいのて

三代藍堂 宮田宏平に会いたくて



何年か前、近所のじいさんが、「おまえ佐渡の出だったな、ほれ見ろ。」

と手渡されたのが、三代藍堂 宮田宏平のブローチだった。

佐渡出身という事でお許し願いたいのだが、それは佐渡の物とは思えないほど、きらびやかで、

艶があり、どこから見ても見飽きない不思議な形で、舶来品の様であった。

宮田さんを知らず、じいさんに、さんざんからかわれ膨れっ面をしたが、

今となっては美術館のガラス越しでしか見れない宮田さんの作品を手にとって見させてくれた事に感謝している。

作品は無理でも本ならば!と東京国立近代美術館で作品集を購入。

大正十五年に佐渡に生まれ、家伝の蝋型鋳造を学ぶ。

東京芸大在学中、当時、実績を積んだ作家が受賞するのが常である日展の特選を受賞。

後、鋳金作家になり、卓抜な技術と構想力で伝統的な花生から、オブジェ、アクセサリーなど旺盛に作成。

と紹介されていた。

美豆波乃水(みずはのめ)、沙界、恋づくし、なごみ、恋心の匣、秘境、磯の花、花かずら、

夜もすがら、積もる恋。

これからは、宮田さんの作品の題名だ。とてもロマンチックではないか。



作品を見ていたら、不思議と佐渡の浜を、海を、海の中を感じる。

ひょっとしたら浜辺に美豆波乃水の指輪が、海の中には恋水の匣がそっとあるような気がしてきた。

その浜はやはり佐和田かな、学生の頃、好きな子と桜貝を探したっけ。

あらら、なぜかそんな柔らかくて、傷つきやすい気持ち思い出す。

これが作品の魅力なのか。宮田さんにお会いしたかった。

何を話したいかわからないが、会うだけで、通じる人にはちゃんと通じるのだと勝手に信じ込んでいる。

弟の亮平さんも鋳金作家であり、作品は東京駅「銀の鈴待ち合わせ場所」の鈴を作製したそうである。

東京駅に行ったら見てみようと思う。

阿讃坊 薫  相川町出身



オリジナルショップのスタッフを経て、
佐伯屋を立ち上げる
日本の伝統工芸の企画展示販売、
オリジナル商品企画

お問合せ先
電話 045-985-1299
E-mail : saekiya@oboe.ocn.ne.jp
http://www1.ocn.ne.jp/~saekiya/


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