情報 2009年5月25日
エスライフ 09年6・7月号

イロドリの島  〜四季折々に咲く花を想う〜


風薫る季節、海辺は「花の絨毯」になる。

島は今まさにその時を迎えている。 





北の先端・大野亀に群れなすカンゾウの「黄色」 佐渡と山形にだけあるトビシマカンゾウは、
 
島では、漁告花ヨーラメと呼ばれ親しまれている。

青い海と空、緑の大地に黄色いカンゾウ。

夕日に染まれば黄金色に輝き、その美しさにうっとりとしてしまう。

外海府海岸の崖や岩場に咲くイワユリの「橙色」荒々しい岩肌と対照的な赤味の強い花の色は、

波の飛沫をまともに受けるような、殆ど水もない岩場にしがみつくように生きる

イワユリの力強い姿を表しているかのようだ。

七浦海岸、小木素浜ではハマナスの「赤色」赤、というより桃色を含んだ鮮やかな赤である。

この花は皇太子妃・雅子さまの御印の花。

波打つ海辺に優美に咲き、潮風にゆれるその姿は、

ジャパニーズ・ローズと呼ばれるにふさわしい気品に満ち溢れている。

同じく素浜にはハマヒルガオの「桃色」砂浜に淡い桃色の花が、花言葉の「絆」のように仲間となって咲く。

よくみれば、葉っぱはハート形でなんとも可愛い。 

素朴で可憐なハマヒルガオは、癒しをくれる優しい花である。

他にも「白」や「紫」の花もあり、百花繚乱、色とりどりの花の絨毯だ。

美しく海辺を彩る花たちだが、その美しい姿とはうらはらに、生きている環境はかなり過酷である。

水がありそうでない、陸上の植物は海水では生きられない。

栄養条件の悪い土壌。

強風や波による砂・石の移動。

極めつけは人の活動が多いこと。

そういった厳しい環境に適応した海辺の花も、山に咲く貴重な花と同じくらい価値あるもの。

海辺は山と違いあまりにも人の生活環境に身近すぎてその価値に気づきにくいが、

守るべき自然のひとつである。

島をイロドル花のすべてに想うこと、それはどんな花も、

「厳しい自然環境の中で生きる命の輝きをその姿に映して咲いている」ということ-。

この島にこんなにも素晴しい自然があるということにただ感謝である。





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